副業でガイドを始めるとき、最初につまずくのが税金の話です。「年間20万円まで申告不要」という説明をよく見かけますが、これは半分しか正しくありません。
この記事では、会社員が副業で収入を得た場合の扱いを整理します。
まず「20万円ルール」の正確な中身
給与を1か所から受けている会社員の場合、給与以外の所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は原則として不要です。これはよく知られています。
見落とされがちなのは次の点です。
1. 20万円は「売上」ではなく「所得」
判定されるのは、受け取った金額そのものではなく、そこから必要経費を差し引いた金額です。
``` 所得 = 収入 − 必要経費 ```
ガイドの仕事なら、案内中の交通費、下見の費用、通信費の一部などが経費になり得ます。年間30万円を受け取っていても、経費が12万円あれば所得は18万円です。
2. 所得税が不要でも、住民税の申告は必要
ここが最も誤解されている部分です。20万円ルールは所得税の話であって、住民税には適用されません。確定申告をしない場合でも、お住まいの市区町村に住民税の申告が必要になります。
つまり「20万円以下だから何もしなくていい」は誤りです。正しくは「所得税の確定申告は不要だが、住民税の申告は必要」です。
20万円を超えたら
確定申告が必要になります。会社員の副業収入は、通常は雑所得として扱われます(規模や継続性によっては事業所得になる場合もあります)。
申告の時期は毎年2月16日から3月15日ごろ。必要なのは、収入がわかる記録と、経費の領収書です。
やっておくと後で楽になること:
- 受け取った金額を日付・相手・金額でメモしておく
- 交通費のレシートを月ごとにまとめておく
- 副業用に口座を分けておく(必須ではありませんが、集計が格段に楽になります)
経費として認められやすいもの
あくまで一般論ですが、ガイドの仕事に直接必要だったと説明できる支出です。
| 費目 | 例 |
|---|
|---|---|
| 交通費 | 案内当日の電車代、下見の移動費 |
|---|---|
| 通信費 | 連絡に使った分(家事按分) |
| 資料費 | 地図、ガイドブック、語学書 |
| 入場料 | 下見で入った施設 |
家事按分というのは、私用と兼用のもの(スマホ代など)を、仕事に使った割合で分けて計上する考え方です。全額を経費にすることはできません。
住民税の納付方法
確定申告書には「住民税に関する事項」という欄があり、給与以外の所得にかかる住民税を「自分で納付(普通徴収)」にするか、給与から天引き(特別徴収)にするかを選べます。
普通徴収を選べば、副業分の住民税は自宅に届く納付書で自分で払うことになります。ただし、市区町村によって対応が異なる場合があり、必ず希望どおりになるとは限りません。
始める前に確認しておくこと
税金の手続きより先に確認すべきなのは、勤務先の就業規則です。副業を許可制にしている会社、届出を求める会社、禁止している会社があります。
厚生労働省は2018年にモデル就業規則を改定し、副業・兼業を原則認める方向に変更しました。それ以降、解禁する企業は増えています。ただしこれはあくまでモデルであって、実際の規則は会社ごとに違います。まず自社の規則を読んでください。
まとめ
- 20万円は売上ではなく所得(経費を引いた後)で判定する
- 所得税の申告が不要でも、住民税の申告は必要
- 超えたら確定申告。記録と領収書を残しておけば難しくない
- 税金より先に、勤務先の就業規則を確認する
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあり、個別の事情によって扱いも異なります。実際の申告にあたっては、お住まいの地域の税務署または税理士にご確認ください。
Frequently Asked Questions
副業の収入が年間20万円以下なら、本当に何もしなくていいのですか?
いいえ。20万円ルールは所得税の確定申告に関するものです。20万円以下であれば所得税の確定申告は原則不要ですが、住民税の申告は別途必要になります。「20万円以下だから何もしなくていい」は誤りです。20万円は受け取った金額のことですか?
いいえ、必要経費を差し引いた「所得」で判定します。年間30万円を受け取っていても、交通費などの経費が12万円あれば所得は18万円です。ガイドの副業で経費にできるものは何ですか?
仕事に直接必要だったと説明できる支出です。一般的には案内当日や下見の交通費、連絡に使った通信費(家事按分)、地図やガイドブックなどの資料費、下見で入った施設の入場料などが挙げられます。私用と兼用のものは、仕事に使った割合で按分して計上します。副業の住民税を給与から天引きされないようにできますか?
確定申告書の「住民税に関する事項」で、給与以外の所得にかかる住民税を「自分で納付(普通徴収)」に指定できます。ただし市区町村によって対応が異なる場合があり、必ず希望どおりになるとは限りません。会社が副業を禁止している場合はどうなりますか?
税金の手続き以前に、まず勤務先の就業規則を確認してください。厚生労働省は2018年にモデル就業規則を改定し副業・兼業を原則認める方向に変更しましたが、これはモデルであって実際の規則は会社ごとに異なります。
